貸金業法とキャッシングの今後
貸金業法の改正によって、かなりの制限が設けられました。
それは、借金をする消費者にとっても、キャッシングをしてもらう債権者にとっても、不自由を強いられるということになります。
それによってキャッシング被害がどの程度減っていくのかというのは、今後しっかり観察していく必要のある結果項目と言えます。
キャッシングは、本来困った人を助ける為の社会的システムであるべきです。
しかし現在では、困った人をより困らせる為のシステムとなりつつあります。
日本自体、借金を数多く抱えている中で運営されている国です。
その中で、国民も借金で困るとなると、本当の意味で借金大国になってしまいます。
貸金業法の改正は、そういったネガティブな思考を断ち切るという意味でも必要なものでした。
ある種の景気対策とも言えるのではないでしょうか。
今後、この改正によって効果があると立証されれば、さらなる貸金業法の改正が行われていくでしょう。
そうなってくると、貸金業者もそれなりに対応に追われ、システムはより複雑化していくことに繋がる可能性があります。
いわゆる「法の目をかいくぐる」という手法ですね。
そうしたら、今度は貸金業法の方もどんどん複雑化していく可能性は否定できないでしょう。
それらが、新たな問題として勃発してくると、別の意味で消費者が苦労する事になるかもしれません。
いずれにせよ、借金の形態は、今後もどんどん変わっていくことが推測されます。
貸金業法は、それに合わせて、できるだけわかりやすい取締りをして欲しい所ですね。
貸金業法とテレビCM
消費者金融のテレビCMは、年々増えているような気さえしています。
ただ、このテレビCMを巡っての問題というのも、結構話題になったりしていますよね。
一番有名なのは、アイフルのチワワを使用したCMですね。
このCMは社会現象にもなり、チワワの売り上げ大幅アップ、出演者のブレイクなど、様々な話題を提供する一方、その後のアイフルの貸金業規制法違反、そしてCM中止といった流れが起こした波紋も非常に大きかったようです。
元々、消費者金融のCMというものは、テレビタレントもイメージダウンに繋がるとして、出演を見合わせるというのが通例でした。
しかし、上記のチワワブームや、小野真弓さんのブレイクなどによって流れが変わり、多くのタレントが出演するようになりました。
現在でも、有名芸能人が多数出演しており、特にタモリさんの出演は様々な波紋を投げかけました。
こういった流れは、同時に本来は子供に見せるべきでない消費者金融のCMをテレビが推進しているという抗議を生み、かなりの問題となりました。
キャッシングによる被害の拡大を助長しているのでは、という意見ですね。
確かにそのような面が無いとは言い切れず、貸金業法の改正で、自主ルールともいうべき規制が設けられました。
まず、子供がテレビを見る時間帯(7~9時、17~22時)には消費者金融のCMを流さないというものです。
これによって、子供が消費者金融のCMを見る機会を極力無くすという狙いです。
実際問題として、消費者金融側としても、子供にCMを見せるメリットはほぼ皆無なので、特に問題なく成立するルールと言えるでしょう。
一方、その分を深夜などに回すことで、かなりの量のCMが深夜枠で流れるなどの懸念もあります。
貸金業法の改正は、テレビCMにも大きな影響を与えているのです。
勤務先押しかけは禁止事項
新たな貸金業法では、勤務先への押し掛けは全面的に禁止しています。
この点は、貸金業法が大きく進化した一つと言えるでしょう。
借金というのは、誰でも周りの人に知られたくないもの。
自分が借金をしているという事が判明したら、周囲の自分を見る目が変わるという懸念があるからです。
これは被害妄想でもなんでもなく、実際にそうなる可能性が非常に高いと言えます。
経済的に苦しい状況を悟られるだけでなく、返済がしっかりできていない、お金にルーズな人だという認識をされる事にも繋がるからです。
そして、それがもし会社の同僚や上司に知られる事になれば、それはとてつもない痛手となります。
借金をしている人という認識をされると、上司からの信用を大きくなくす事に繋がりますし、同僚からも白い目で見られるでしょう。
大げさな話でもなんでもなく、そういった理由でプロジェクトから外される、重要なポジションから撤退を余儀なくされるという事態も、十分考えられるのです。
こういった勤務先への取立て行為は、半ば嫌がらせに近い形で行われていました。
本来、債務者の経済状況を悪化させかねないこういった行為を行うのは、債権者にとってもあまり有意義ではないはずですよね。
そこで、あえてそういう行為を行うのは、精神的に追い詰めて、他の会社から借金させて自分のところに返済させるように、あるいはもっと悲惨な状況に追い込むように仕向けていると考えられます。
尚、現在の貸金業法では、他の金融業者への借金を債権者が促す事は全面的に禁止されています。
正規時間外の取立ては禁止事項
貸金業法の改正で、借金を抱えている債務者への苛酷な取立ては全面的にタブーとなりました。
この貸金業法を守っていない貸金業者は、悪徳業者とみなしても構わないと言えます。
また、中には、大手でもこういった取立てを未だにしているところもありますから、油断は禁物です。
何かあればすぐに専門家を頼るくらいの心構えでいる方が良いでしょう。
悪徳業者がよく行う取立て方法としては、保険金を使って返済するよう示唆するというものです。
よくドラマなどで、生命保険を使って借金を返済するシーンがありますが、実際にそうするよう直接は言わないまでも、それを示唆するような内容であれば、現貸金業法ではアウトです。
その内容から十分にその意図を感じられる言葉を向けられた場合は、専門家にその旨を伝えるようにしましょう。
また、取立てを行う時刻に関しても、貸金業法ではしっかり定められています。
午前8時から、午後9時までの間です。
つまり、午後9時から午前8時(21:00~8:00)の間の夜間においては、借金の取り立ては全面的に認められていないという事です。
にもかかわらず、夜間に債務者の元を訪れているのは、例え『取立てが目的じゃない』と主張してもアウトです。
電話やメールに関しても駄目です。
基本的に、夜の9時以降に何かしらのコンタクトがあった時点で、相手は違法な行為をしているとみなして構いません。
その場合は、専門家へ連絡して止めさせてもらうようにしましょう。
貸金業法改正の背景
平成に入り、カード破産が社会問題となった後も、貸金業法の改正はなかなか行われませんでした。
その一方で、さらに貸金業は肥大化し、巨大マーケットを形成していました。
日本における貸付残高は実に14兆円以上に膨れ上がり、利用者数は1500万人に達しているといわれています。
日本の人口の1/8に該当する数字です。
極端な事を言えば、日本人の実に8人に1人は何らかの形で金融業者から借金をした経験があるということになります。
こういった金融業界の市場マーケットが拡大したことも、貸金業法改正の大きな背景となりました。
あまりにも利用者が増えたことで、当然それに比例してヤミ金融の被害者の数も大幅に増え、警察、行政としても、自己責任という形で片付けられる問題ではなくなったとようやく重い腰を上げるに至ったのです。
また、数だけでなく、その質も悪化の一途を辿り、それも改正の要因となりました。
というのも、多重債務が非常に多くなったのです。
通常、多重債務というのは起こり得ないものでした。
というのも、基本的にこの多重債務というのは、借金を抱えている人がさらに借金をする事で発生するというものです。
ですが、普通はまだ他の会社の借金を返済していない人に対してお金を貸すというのは、リスク管理の面から言ってもまずあり得ませんでした。
そういった人にも貸し出すヤミ金融が増えたことで、多くの多重債務者が増えたのです。
これでは、沢山の人が借金で潰れてしまうということで、法律の改正に踏み切ったのです。
これが、貸金業法改正の背景です。
2006年の貸金業法改正その2
グレーゾーン金利撤廃の決定が大きな目玉となった2006年の貸金業法改正ですが、それ以外の部分もかなり改正がなされました。
その中には貸金業者にとって頭の痛い内容も多く含まれていたことから、結構もめていたようです。
2006年に行われた貸金業法改正では、金利に関する改正の他、貸金業の適正化、過剰貸付けの抑制、ヤミ金融対策の強化等といった、これまでにも行われてきた改正をさらに踏み込んだ形で施行する事になりました。
その中でも、貸金業の適正化に関しては、特に多くの事項が改正されることになりました。
まず、貸金業参入に必要な純資産額を、個人300万、法人500万から、2,000万円に引き上げました。
今後はさらに、5,000万円に引き上げる予定と言われています。
つまり、相当な額の資産が無いと、貸金業を営むことはできなくなったということです。
少ない元手であくどいやり方で私服を肥やすことはできなくなりました。
この他も、貸金業協会における自主規制機能の強化や、過剰貸付けの抑制などの事項も盛り込まれていました。
さらに、夜間だけでなく日中における執拗な取立て行為、特定公正証書作成の委任状取得、利息制限法を越えた契約の特定公正証書作成嘱託といった行為を全面的に禁止としました。
そして、これもかなり波紋を呼びましたが、借り手が自殺する事によって生命保険金で弁済するという行為も禁止しました。
2時間ドラマの動機などでよく使用されるこういった行為は、実際に行われる事もあり、それを防ぐ為の改正となったようです。
2004年の貸金業法改正
2001~2002年の貸金業法改正によって、出資法の定める上限金利は29%にまで引き下げられました。
また、2000年代に突入し、日本の景気もかなり変動し、これによって貸金業は大きな改革を迫られることになったのです。
主に、イメージの変化を重点とした改革が行われ、各大手企業はCM戦略などを行い、貸金業に対するイメージを少しでも良くするという方法を取っていました。
その一方で、ヤミ金というものが廃れることは無く、取締りを厳しくしたものの、今度はインターネット上での貸し出しに関しての様々なトラブルが発生するなど、時代が進んだことで新たな問題が発生し、物議を醸していました。
そういった事もあり、2004年、またも貸金業法の改正が行われることになりました。
この2004年の改正では、主にヤミ金融に対しての徹底した取締りがテーマとなりました。
まず、貸金業の登録要件を厳格化し、普通の金融業者を装ったヤミ金融が登録できないようにすると共に、無登録業者への取り締まり、取立行為への規制をかなり強化しました。
同時に罰則の強化も行い、年間109.5%を超える過剰金利で貸付を行った契約に関しては、無効とするという法律が制定しました。
こういったヤミ金融対策の改正がなされた事で、徐々にヤミ金融による被害は少なくなってきたと言われています。
ただ、それは見かけだけの数字で、実際には泣き寝入りしている人の数はまだかなりいるという状況も、少なからず残っていました。
そういった部分のさらなる強化として、2006年にまたもや改正がなされる事となったのです。
1992年の貸金業法改正
1991年に貸金業法の改正が行われて以降、貸金業が大きく変わったかというと、それ程の変化はありませんでした。
しかし、時代は大きく動きます。
バブル崩壊です。
このバブル崩壊によって、日本の経済は大きく変動するようになりました。
1992年頃に本格化したバブル崩壊の影響は、当然貸金業にも多大に現れ、貸金業法も新たな改正が試みられるようになりました。
また、同時期にノンバンクによる金融不祥事問題が多発し、ノンバンクの経営破たんも増えた事で、こういった観点からも改正が行われたのです。
1992年の改正においては、貸金業者に対して、健全な運営を促すための法案が成立する程度でした。
事業報告書の提出を求めるという権限を発動させたといったくらいで、あまり大きな進展はなかったと言えます。
とはいえ、土地だけでなく株式などについても、 貸付け実態の把握、そして適正化が行われるようにという動きを見せた事で、その後に繋がる改正ではあったと言えます。
ただ、この時期はバブル崩壊によって日本経済が大きな混乱を見せていた為、さらなる貸金業法改正に踏み込むには至らず、この後かなりの空白の時期が生まれてしまいました。
次に改正が行われたのは8年後の2000年で、それまでは具体的な改正はなく、カード問題を始め、様々な貸金業における問題は放置されたまま、時間だけが過ぎていくことになります。
タイミングもよくなかったのですが、この空白の8年間は今思うとかなり勿体無かったといえますね。
1991年の貸金業法改正
平成の貸金業法改正は、幾度となく行われました。
ただ、2006年の改正に至るまでは、具体的な改正案は少なく、形だけのものも少なくありませんでした。
それでも、少しずつ変わっていった事が、最終的にはグレーゾーン金利撤廃の流れを作ったと言えます。
そういう意味では、1991年における貸金業法の一部改正は、大きな第一歩だったと、今にして思えば言えるかもしれませんね。
まず、この1991年は、土地問題が社会問題として発展しているという時代背景がありました。
土地問題というのは、基本的には地価高騰が大きな論点となることが多く、この時期もバブル景気がピークを迎え、地価が際限なく高騰していた時期でした。
その為、貸金業者、そしてローンの金利というものが大きな焦点となっていました。
一方、ノンバンクというものもこの時期に焦点が当たっていました。
いわゆる、預金や為替業務を行わない金融業者で、銀行以外の貸付を行う業者を指しますが、このノンバンクに関しても、これまでは野放しだったのに対し、金融機関同様の指導、監督を必要としているということで、こういった問題を解決すべく、平成の改正はスタートしました。
この改正によって、貸金業法に『国民経済の適切な運営に資する』という一文が追加されました。
これによって、貸金業者に対して、国民経済という観点から指導、監督が行えるようになったのです。
ただ、これが大きな規制となったかというと、実際にはそれ程効果がなかったようです。
そして、平成の改正へ
問題を抱えつつ、昭和58年に運営が開始された貸金業法ですが、やはりその問題は徐々に大きなものへと発展していくことになります。
特に、グレーゾーン金利に関しての問題は全く改善が見られないままで、貸金業者の多くは、このグレーゾーン金利に関しておとがめなしという判断を下し、利息制限法ではなく出資法の上限金利を用いて貸金業を営んでいました。
さらに、平成に入るといわゆる『ヤミ金融』と呼ばれる悪徳業者が増加の一途を辿り、クレジットカードでの買い物が一般化したことで、カードによる借金、そして法外な金利に対して支払いができずに自己破産、という流れのいわゆる『カード破産』が頻繁に発生し、大きな社会問題となったのです。
こういった経緯もあり、貸金業法は改正が行われる事になります。
最初に改正がなされたのは平成15年です。
通称『ヤミ金融対策法』として制定されましたが、はっきり言って、この改正は不完全でした。
その為、3年後となる平成18年に、今度は大々的な改正が行われる事となったのです。
これには、グレーゾーン撤廃に関する世論の声が反映され、結果としてこの改正によって貸金業の適正化、グレーゾーン金利の廃止が正式に行われました。
まだ問題はあるものの、この改正によってかなり大きな改善がなされ、貸金業法はようやく正しい運用がなされるようになりました。
それに伴い、各金融業者もこの法律に合わせて金利の引き下げを行うようになり、そこで各金融会社の金利引下げ競争が勃発するなど、様々な変化が見受けられたのです。